季節のお手入れのポイント 2〜4月

バラ愛好家の皆さん、悔いのない手入れをスタートしましょう!!

2月、バラの「根」が盛んに活動しだす季節になりました。
何といっても「春の剪定作業」によって今年の手入れがスタートします。
2月ともなれば関東以西の地区では枝先の芽が膨らみ始め、動き出してきます。
(東北地区では3月初め、北海道地区では、3月下旬頃になります。)
バラの地上部(枝)の動きが未だでも、根は動き出しています。
地中では細い「白根」が無数に出ています。
(但し、冬の防寒対策が不十分で、凍結させてしまった所では論外。)
それ故2月は、欲張って言えば、剪定を初め、以下のような作業が待ち受けており、人間もいよいよ活動開始ということになります。

今年こそ、手抜きせず“悔いのない手入れ”をスタートさせましょう!!

T.剪定 U.消毒 V.施肥(元肥・追肥) W.水やり X.接ぎ木 等
ありますが、最も大切な剪定について重点的に申し上げます。
春の「剪定」はバラ栽培実技の中でも難しいものと考えられているのではないでしょうか?特に「秋の剪定」はバラの枝葉が活動中のところを剪定するので、実際には大変難しい面がありますが、「春先の剪定」は休眠中の枝が芽を出し始める直前に行うので、難しさは格段に少なくなります。極端に言えば「春は何処で剪定しても芽は出てくる」ということです。その上で成るべく思い切って切ることです。
可哀想だからといって、枝先だけを切っていると、小さな花を沢山つけて、体力を消耗し過ぎて、木の若返りのための「シュート」の出が悪くなり、その株が早く「古木化」して、弱ってしまいます。
バラも「頂芽優勢」といって枝の先端ほど栄養を多く吸収して、元気によく伸びる性質があるので、枝先だけを剪定していると、大事なシュートの出がおろそかになってしまい、「株の若返り」が出来なくなってしまうものです。

剪定の実際

◎バラは難しいという言葉を良く聞きますが、昔に比べれば苗の耐病性も随分良くなっているし、農薬も随分進歩しています。堆肥腐葉土も容易に入手できますし、肥料も改良されました。
さて剪定の実際はバラの枝葉の状況が千差万別なので、短い紙面で言い尽くすことはできませんが、現代バラの代表であるハイブリッド・ティー系について、具体例を図にして説明して見ました。どうぞご覧になって下さい。

剪定の図

図の一番左の「主幹枝」は昨年の春から初夏にかけて根元から、元気よく出たシュートを前述したシュート・ピンチの手法で処理し、この冬には150cmにも伸長した理想的な若い「主幹枝」です。立派な素晴らしい春の花が期待されます。これを図でいいますと高さ70cm(弱剪定)又は50cm(強剪定)の辺で、剪定します。
次いで左から2番目の「主幹枝」ですが、下部は古木ですが、幸い途中から元気なシュートが出て、図のように秋口までに高さ1m以上に伸長した枝です。これも次の春には立派な花が期待できますので、図のように充実した部分で剪定します。

から3番目の「主幹枝」はもう3年以上たっており、しかもシュートが出ておりませんので、これは寿命ということで根元から削除します。
次いで1番右の「主幹枝」ですが、昨年8〜9月以降に遅く出たシュートなので、未だ剪定に耐えるだけ充実していないかも知れません。そのような場合は、枝先の方から剪定をはじめ、そこが充実していなければ良い花は期待できませんので、さらに下の方に切り下げていきます。下まで、切り下げても充実していなければ、多分この冬の寒さに耐えられなくて、枯れると思われるので、そのような場合は残念ながら根元から削除してしまいます。
以上ですが、このようにして剪定した最終的な様子を右下に示しておきました。

剪定の一般的な注意ですが@剪定する枝は充実していなければならないことA元気な、背の高い株はあまり強く剪定せず(背丈の1/2程度)、新苗や生育の思わしくない株は、比較的強く剪定(2/3程度切る)します。Bフロリバンダ系はHT系に準じますし、Cミニチュアー系は剪定というよりは、形を整える感覚です。Dツルバラは、枝先を詰めるだけで、剪定はせず横に誘引することは既に話した通りです。

3月〜4月のポイント

さて、3月にもなると剪定後に芽が伸び出してきます。しかし、寒さも来ます。伸び出したばかりの若い芽はすぐ寒さにやられてしまいます。凍傷で枯れないとしても、時には蕾を付けない「ブラインド」の芽になってしまいます。
この対策は防寒しかありません。鉢植えなら一時家の中に避難するなどできますが、庭植えはそうはいきません。しかし霜予報を聞いていて、寒波が来ると予想されたら例えば、これはと思う大事な芽に「紙袋」をかぶせて上げることで、ブラインドを防ぐことができます。こまめに3〜4月の寒さをこの愛情で乗り越えて下さい。
このようにして5月無事に見事な花が咲いたのを見るのは大変な喜びを感じるものです。
この季節は芽がよく伸びて、赤味のある葉が開いてきます。しかし未だこの世に出たばかりで、病菌にも虫にも簡単にやられてしまいます。
特に弱い品種はどうしても農薬を使うことになります。ご自分で農薬を調合する場合は所定濃度の2/3程度でさっと噴霧して下さい。

栽培本数が少ない場合は、バラ用の「スプレー式」農薬が沢山販売されていますので、便利です。ただし噴霧する時葉から30cmは離してかけてください。
農薬を買う時に害虫のみに効くのか、病気にも効くスプレーなのか確かめて下さい。

一般には殺菌成分殺虫成分共に入ってる農薬を求めておくと便利です。
以下現在お店でよく見るスプレー式バラの農薬名を挙げておきます。

薬剤名 用途
オルトランC 病・害虫
キンチョールE 病・害虫
ハイベニカスプレー 害虫
ベニカスプレーDX 病・害虫
ベニカスプレーX 病・害虫
モスピランスプレー 害虫
モスピラン・トップジンMスプレー 病・害虫
マネージエアゾール 病気用
ホルン・エアロゾール カイガラムシ用
テルスタースプレー ハダニ用

この季節の大きな注意点は、芽を早く伸ばそうとして、肥料をやり過ぎると病気、特にウドンコ病にかかりやすくなるということです。肥料のやり過ぎで病気に罹ったら、どんな薬を撒いても治りませんので、くれぐれも程ほどにして下さい。

(注)東北・北海道地区は関東地区より約1ヶ月遅れの活動になります。
(注)バラ栽培では根元に日光を当てることが大変大事です。いつも腐葉土などで、根元を覆っているとシュートの出が悪くなります。木全体が元気がなくなり、早く古木化してしまいます。
(注)バラの花芽は剪定後芽が1〜5cmに伸びるまでに体内で作られるので、それまでに強い寒さにさらされるのは花芽の形成に重大な影響があるということです。

以上、「2月〜4月の手入れのポイント」を説明しました。

さらに詳しく知りたい方は

(1)公益財団法人日本ばら会の機関誌月刊「ばらだより」をご参照頂くか、
(2)同上事務局にお問い合わせください。土日祝祭日を除き、役員が親切に対応致します。

Tel:03-3702-9413 Fax:03-3702-9414

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